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投稿日:2005/06/20(Mon)

Q:20 私の住んでいる方では敷石の乱張りというと普通不定形の平らな石を合端処理せずに組み合わせているようなのですが、日本の庭の写真を見ると各石の端がきれいに切ってあり、目地の幅がほぼ一定にそろっています。(下のリンクは比較のための例です。)
http://www.tuinen-tuinontwerp.nl/Tuinen/tuin10/flagstone-me.html(2012/3/11現在リンク先なし)
平石の端を曲線で切るのはグラインダーか何かで切るのでしょうか?

A:

 最近流行の洋風石(アインストーン、ジュラストーンなど)はあまり合端を揃えないラフな感じの方が”らしく”見えるということはあると思います。
 日本で従来行われてきた鉄平石などの乱貼りは合端を整え目地幅を出来るだけ細くするのが技術的にも評価され、見栄えも美しいモノだったのです。

 日本の鉄平石張りを得意としてきた職人達は洋風石の登場にちょっととまどったことは確かです。目地幅を揃えようものなら「それじゃあ和風になっちゃう」となじられたからです。「ラフに、ザッとで」なんて言われると技術力を誇りにしてきた職人は固まってしまう。
 逆に高い技術力のない職人や駆け出しの小僧は流行に乗って仕事を取るチャンスにもなったわけです。よほど仕上げが汚いとかセンスが最悪でない限り、ちょっと技術力が足りないくらいの方が”それらしく”見え、施主や元請けに喜ばれたのです。

 リンクを貼って頂いた和風の鉄平石延べ段は私が18年前に貼ったものですが、確かに合端にこだわっていたようです。この石は諏訪鉄平の擦り石(大きな回転ドラムに入れて石の角をすり落としたもの)なのでグラインダーなどでカットするとその切り口は明らかに他のものと違って見えてしまいますので、出来るだけ切らないで合端の合う石を根気よく探して組み合わせます。やむを得ず刃を入れる場合は面取りして様子を揃えます。
 いわゆる普通の鉄平石や丹波石はコヤスケというトンカチの小さいもののような道具で割りながら合端を合わせます。私は鉄道のレールの切れっ端を台にしてその上で割っています。最近の施工例の中で私が石を割っている写真がありますが http://www.k-tk.co.jp/koji/koji06/izumi_tuno/tuno.html ジュラストーンも鉄平石と同じような要領で割ることが出来ます。よほど難しいラインや失敗が許されない場面でない限りグラインダーは使いません。自然石の味わいを失わせない努力をします。
 ご質問の曲線の場合、グラインダーを使う場合もありますが、機械で切るとどうしても不自然な切り口になってしまうので石の自然な曲線をそのまま生かす努力をします。要するに必要最低限だけグラインダーを使います。

 最初の話に戻りますが、「目地幅にあまりこだわらずにラフに貼る」ということに関してですが、最近は拡大解釈がさらに拡大していって「合端無視!」なんていう技法もまかり通っているようです。それこそ合端処理など一切しないで手当たり次第にただちりばめただけ、なんていう感じの目を覆いたくなるような現場を見ます。
 お客様がその仕上がりを美しいと評価するのなら何も言えませんが、その仕事をした職人(?)が仕上がりに何のこだわりもなくただ早く、儲け優先でやっつけ仕事をしているのだとしたらゆゆしきことです。
 鉄平石のように厳しく貼る必要は無いかもしれませんが、美しいモノを追求しなくなったら職人は終わりです。技術力も向上しないし優秀な若手も育ちません。
 お客様が出来映えよりも安さを追求し、職人(や親方)がこだわりよりも儲けを優先すれば大事なモノが失われていきます。どちらの側にも美しさへの執着と厳しさが必要だと思います。

 、、、なんて 偉そうなことを言ってしまいました、すみません。


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